親が背が高いと子供も背が高くなる

こう言われて「嘘だ!!」と思う人は少ないでしょう。
ですが

親がデブなら子供もデブになる

こう言われると

そうか?
そんなことない!

必ず反論が出る。
私はデブじゃない!って憤慨する人もいるでしょう。

この本によると

身長の遺伝率は66%。

この意味は
背の高さのばらつきのうち

66%が遺伝で、34%を環境で説明できるということ。

よくある間違いは確率としてとらえることです。

背の高い親から66%の確率で背の高い子供が生まれ
34%の確率で子供の背は低い。

これは間違い。

とはいっても遺伝率が高いほど遺伝的な要因が大きく
作用することは間違いないらしい。

ここで伝えたいのは

体重の遺伝率が74%で身長の遺伝率より高いことです(衝撃)

ということは
74%が遺伝で、26%を環境で説明できるということ。

これってかなり高い数字だと思いませんか。

巷でよく言われてる肥満の遺伝率に対する考え方からすると
だいたい3割ぐらいが遺伝であとの7割は生活習慣次第って
書いてるところが多いです。実際私もそれぐらいの認識でした。

(しかもだいたいの記述は遺伝率の解釈間違ってますね。
「この確率で生まれる」っていうことじゃないんだってば。)

実際は逆。遺伝率高い。高すぎ。

体重の74%が遺伝で、26%を環境で説明できる。。

これなんですよ。8割近いって・・・。生活変えて痩せようとする人に
とっては萎える数字ですよね。

なんでこんなことが公にされないかっていうと
それは社会にとってタブーだからですね。

肥満は遺伝って言っちゃうと元も子もないっていうか。
努力しても痩せられないんだったら、ダイエット市場にとっても都合が悪いですよね。
厚労省が必死になってメタボ対策とかやって企業が食堂やら作ってどんなに啓発しても

太ったら終わり

なわけですよ、実際。
だから予防に力を入れるっていう最近の流れは非常に合理的。

スリムなことが美徳とされる社会では、太っているのはダイエットに失敗した
(努力が足りない)からだと考えられているが、体重の高い遺伝率から考えれば
「ダイエットに成功できるのは遺伝的にやせている人だけ」という可能性のほうが
高そうだ。

この見解はいま話題の腸内細菌の本でも

母親から受け継ぐ腸内細菌の組成によって太りやすいとか
太りにくいということがわかってきたため
もともと【太りやすい腸内細菌】を受け継いだ人は
ダイエットの効果が出にくいのではないか?

ということがあちこちで述べられています。

ということは

どんなに頑張っても遺伝の影響で痩せることが
できない人がいる

ということは知っていたほうがいいかもしれません。

逆になんでこういうタブーをこの本は書いてるかというと

自分の遺伝的特性を知っていて遺伝率を理解していれば
事前に予防することができるから

だそう。
これは確かにある。

例えば本では

アルコール依存症、精神病、犯罪(サイコパス)なんかは
かなり高い遺伝率だと書いてあります。

なので親が罹患して、子がそれを知っていれば
お酒を控えたり、発症や犯罪を防止するための何らかのカリキュラムを
受けられるようになるのではないか?

そこで一定の抑止力が働くのではという考えがあるようです。

そして余談ですがIQ、音楽的才能、数学も遺伝率はかなり高いです。

発達心理学の研究者であるジュディス・リッチ・ハリスは
「別々の家庭で育った一卵性双生児はなぜ、同じ家庭で育ったのと同様に
よく似ているのか?」という疑問から研究をすすめ

こどもが親に似ているのは遺伝によるもので、子育てによって
子どもに影響を及ぼすことはできない

と身もふたもないことを主張してアメリカで大論争を巻き起こしました(笑)

親は自分の努力が報われるという「子育て神話」を信じてますからね。

ハリスによると

子どもの人格は遺伝的な特性と友だち関係との相互作用のなかで
作られる

そうです。
そして親の唯一の役割は

子どもの持っている才能の芽を摘まないような環境を与える

ことなんだそうです。

最後に著者の橘玲(たちばな あきら)氏は述べています。

有名校に子どもを入れたとしても、そこでどのような友だち
関係を選び、どのような役割を演じるかに親が介入することはできない
子どもは無意識のうちに、自分の遺伝的な特性を最大限に活かして
目立とうとするだろうが、それは多分に偶然に左右される。

面白いですね。いやあ勉強になりました。
遺伝子研究がもっと進めば肥満も治せる時代が来るでしょうね。

真実は残酷ですが知らないことはもっと残酷です。
現実を知るのは大事ですね。